M&Aを取り巻く環境・問題点
キーセンテンス
- 日本のM&Aの件数は、増加基調にある
- M&Aに関連する法、会計、税務の整備が進んでいる
- M&Aの潜在的なものを含むニーズは規模の大小、業種、地域は問わない
- M&Aの有効性も規模の大小、業種、地域は問わない
- M&Aの件数が都市圏に集中している
日本におけるM&Aの取引件数は、㈱レコフ調査によると、リーマンショック以降減少傾にあるものの、2,500件から3,000件程度でここ数年推移しており、増加傾向のトレンドは揺るぎないものになりつつあります。これと呼応するように、M&Aに関連する法、会計、税務の整備も進められてきました。
上記の件数は、プレスリリースをされた情報のみであって、実態としては、この数倍は取引されているといわれています。しかしながら、M&Aは、まだまだ大企業の利用が中心であることは否めません。そして、M&A成約件数の多くが首都圏を中心とした大都市圏に集中しています。
本来、M&Aの潜在的なものを含めたニーズとその有効性は、事業規模の大小、業種、地域に依存することないはずです。
- 中小零細企業にM&Aに対する正しい理解が進んでいない
- 小規模案件を扱うM&Aアドバイザーの絶対数がたりない
- 地方におけるM&Aアドバイザーの絶対数が足りない
なぜ、M&Aが大企業中心であり、首都圏、大都市圏に集中しているのでしょうか?
それは、M&Aを戦略的に活用する側である中小零細企業のM&Aに対する正しい理解が進んでいないことが挙げられると思います。
勿論、それだけではありません。
M&Aの成約をサービスとして提供する側にも大きな問題があります。
大型のM&Aを扱う、つまり、高額な報酬を得ることができるM&Aを扱うプレイヤーは多く存在する一方で、小規模案件を扱う、つまり、中小零細企業のM&Aを扱うプレイヤーの絶対数が足りていないのです。また、首都圏、大都市圏以外の地域におけるM&Aプレイヤーの絶対数も足りていません。
M&Aが戦略的に有効な選択肢となりうる全ての企業・団体への正しいM&Aへの理解・普及促進、小規模M&Aを扱うM&Aアドバイザーの創出すること、そして、全国各地にM&Aアドバイザーを配置することが必要であると考えています。
- 一定のレベルに達したM&Aアドバイザーの絶対数が足りない
- M&Aの知識がオープン化されていない
- M&Aの開かれたオープンマーケット(案件共有の場)が存在しない
M&Aへの理解・普及促進、小規模M&Aを扱うM&Aアドバイザーの創出、全国各地へのM&Aアドバイザーを配置だけで、日本におけるM&Aが広く一般に戦略オプションとして認知され、真に経済発展に寄与できるわけではありません。
M&Aの増加トレンドの中で、多くのM&Aアドバイザー誕生しました。しかしながら、M&Aアドバイザーは、公的な資格ではなく、広く認知されているM&Aアドバイザーなるための基準もないため、知識、モラルの点から、一定のレベルに達していないM&Aアドバイザーがいることも事実です。
また、M&Aに対するナレッジ、ノウハウは、組織内で秘匿される傾向があり、オープン化されないことがM&A市場の更なる健全な発展を阻害していると考えています。そして、M&Aを戦略的に活用したい企業・団体様、M&Aのプレイヤーが参加できるオープンマーケット(案件共有の場)がないこともM&A市場の更なる健全な発展を阻害していると考えています。
一定レベルの知識・モラルを会得したM&Aアドバイザーの創出、知識・ノウハウのオープン化、オープンマーケットの創設が、日本におけるM&Aの普及には必要であると考えています。